『エンブレム TAKE2(テイクツー)』は、漫画家・樋口大輔によって1989年から1993年にかけて『週刊ヤングジャンプ』で連載された、リベンジ・サスペンスアクション漫画の金字塔です。全39巻で完結した本作は、単なる喧嘩漫画や青春物語とは一線を画し、「人生のどん底から這い上がる壮絶な再挑戦」というテーマを泥臭く、そして熱く描き切った不朽の名作として、今なお多くの読者に支持されています。
物語は、夢も希望も失い、惨めに死んだ暴力団組員が、人生の転落のきっかけとなった瞬間に戻って運命をリセットするという、SF的な設定と裏社会のリアルな人間ドラマが融合した異色作です。後悔と屈辱を抱えるすべての人の心に、深く突き刺さる熱き再生のドラマが展開されます。
あらすじ:惨めな死を遂げた組員・丈二の二度目の青春
物語の主人公は、阿久津丈二(あくつ じょうじ)。1979年、新宿を拠点とする暴力団・海江田組の組員だった彼は、ある日、大学生との喧嘩に敗れ、屈辱的な形で詫びを入れるという大失態を犯します。この事件を境に、彼の人生は何をやっても上手くいかなくなり、10年後の1989年には、弟分に鉄砲玉(命を賭した仕事)を命じられ、逃亡の末に惨めに自滅するという破滅的な生涯を終えます。
しかし、丈二が次に目覚めた瞬間、そこは1979年の新宿。まさに彼が人生を転落させるきっかけとなった大学生との喧嘩の場面でした。
10年分の記憶と、惨めな死の経験という未来の知識を携えて過去に戻った丈二は、気迫と知恵で大学生たちを撃退し、屈辱を払拭します。彼は、惨めな未来を回避し、「金の代紋をつけ、街をのし歩く」という新たな野心を胸に誓い、二度目の人生をやり直し始めるのです。
2. 『エンブレム TAKE2』が熱狂的に支持される3つの核心的魅力
2.1. タイムリープ×裏社会の「運命の改変」ドラマ
本作の最大の魅力は、「過去に戻って人生をやり直す」というタイムリープ設定が、暴力団という過酷な裏社会を舞台に展開される点です。
丈二は、ただの喧嘩で強くなるだけでなく、未来の知識を使い、自らの破滅的な運命に関わる人物や事件を一つ一つ潰していくという、サスペンス要素に富んだ展開が繰り広げられます。彼は、過去の自分の弱さや傲慢さが招いた結果を知っているからこそ、「本当の強さ」とは何かを問いながら、生き方を根本から変えようとします。
2.2. 「屈辱と後悔」を原動力とする壮絶な贖罪
主人公・丈二の物語は、「惨めな死」という最大の屈辱と後悔を原動力とする、壮絶な「贖罪(しょくざい)」のドラマです。
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魂の再構築: かつては情けなく、弱かった自分。その事実を未来の知識で知る丈二は、過去の自分の過ちと正面から向き合い、人格そのものを再構築しようと試みます。
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裏社会の熱い人間模様: 裏社会を舞台としながらも、仲間との絆、恩義、そして裏切りといった人間の根源的な感情が泥臭く描かれています。丈二が二度目の人生で選ぶ「義理」と「未来」の選択は、読者に人生の価値観**を強く問いかけます。
2.3. 「昭和の熱量」と「人生の普遍的なテーマ」の融合
本作は、舞台となる1979年〜1980年代の昭和の熱量と、人生の普遍的なテーマが見事に融合しています。
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ノスタルジーと緊張感: 時代背景が生み出す泥臭い喧嘩や人間関係は、当時の読者にはノスタルジーを、現代の読者には独特の緊張感を提供します。
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普遍的な問い: 丈二の「過去を変えたい」という切実な願いは、誰しもが抱える「やり直したい過去」という感情と共鳴します。「時を超えても変えられないもの」と「変えなければならない運命」の対比が、物語に深いテーマ性をもたらしています。
4. 感想・レビュー:惨めな人生を逆転させる「希望の教科書」
『エンブレム TAKE2』は、暴力団組員が過去に戻るというショッキングな設定でありながら、その内実は「人生そのものの再生劇」です。
惨めな死を遂げた丈二が、未来の記憶を頼りに過去の運命を緻密に塗り替えていく姿は、読む者に圧倒的なスリルと「人生は何度でもやり直せる」という強い希望を与えてくれます。物語が進むにつれて描かれる、丈二の人間的な成長と魂の再生は、単なる裏社会のアクション漫画では終わらない、胸を打つ感動作として心に残るでしょう。
5. まとめ:『エンブレム TAKE2』は「後悔」を「希望」に変える名作
『エンブレム TAKE2』は、暴力団という極限の環境で、熱さ・哀しさ・希望が見事に交錯する、人生リベンジドラマの金字塔です。
惨めな過去を背負った男が「今度こそ、正しく、そして強く生きたい」と心から願い、行動する姿は、「人生に後悔を抱えるすべての大人の読者」に、「一歩踏み出す勇気」を与えてくれる名作です。
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