おすすめ完結漫画 感想まとめ

30〜40代に懐かしいやつが多いです。

【感想】「MONSTER」浦沢直樹が描く究極のサスペンス!“正義”とは何かを問う傑作

『MONSTER(モンスター)』は、浦沢直樹による社会派サスペンス漫画の金字塔。
1994年から2001年にかけて『ビッグコミックオリジナル』で連載され、全18巻(完全版9巻)で完結。
人間の「善」と「悪」、そして“命を救う”という行為の意味を問う、圧倒的な心理ドラマです。


あらすじ

舞台は1980年代の西ドイツ。
天才脳外科医・天馬賢三は、政治的圧力を受けながらも、自らの信念で少年ヨハンの命を救う。
しかしその少年こそ、後に数々の殺人事件を引き起こす“怪物”だった。

天馬は「自分が救った命が、多くの命を奪うことになる」という皮肉な現実に直面し、
罪の意識に苦しみながらも、ヨハンを止めるため旅に出る。
──やがて、ヨハンの過去と、彼を生み出した闇の真実が明らかになっていく。


作品の魅力

■ 圧倒的なサスペンス構成

一見静かな物語に見えて、ページをめくるたびに緊張感が増していく。
伏線の張り方・心理描写・人物の動機づけがすべて緻密で、
“読む映画”のような完成度を誇ります。

■ 善と悪、正義と選択の物語

「命を救うとは何か」「人間はなぜ悪に惹かれるのか」
というテーマが一貫して描かれ、単なるサスペンスを超えた哲学的深みがあります。
登場人物すべてが“誰も完全に善でも悪でもない”というリアルさが心をえぐります。

■ 社会背景のリアリティ

冷戦終結直後の東欧や西ドイツを舞台に、政治・思想・人権などの社会的要素が丁寧に描かれ、
フィクションでありながらドキュメンタリーのようなリアルさを放ちます。


感想・レビュー

読後に静かな衝撃が残る、まさに“考えさせられる漫画”。
派手なバトルや能力はないのに、ここまで緊張感を維持できるのは浦沢直樹作品ならではです。

天馬の信念と苦悩、ヨハンの底知れない存在感、そして周囲の人々の運命が重なり合う構成は圧巻。
1話ごとに丁寧に張られた伏線が、終盤で見事に回収される快感も味わえます。

“MONSTER”とは誰のことか?──
読み終えた後、タイトルの意味が心に深く刺さるはずです。


まとめ

『MONSTER』は、ただの犯罪サスペンスではなく、
「人間の本質」を徹底的に掘り下げた社会派ドラマの最高峰です。

読むたびに新しい発見があり、ラストまで一気読みしたくなる中毒性。
漫画という枠を超えた、人生に残る1本です。

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