『バジリスク〜甲賀忍法帖〜』は、原作・山田風太郎の小説『甲賀忍法帖』を、漫画家・せがわまさきが漫画化した作品です。2003年から2004年にかけて『ヤングマガジンアッパーズ』で連載され、その圧倒的な忍術バトルの迫力と悲劇的な人間ドラマで、多くの読者に強い衝撃を与えました。
物語は、江戸時代初期、徳川幕府の三代将軍の跡継ぎ争いという歴史的背景をベースに、長きにわたり敵対してきた甲賀(こうが)と伊賀(いが)、二大忍者一族の精鋭が、互いの命と誇りを賭けて戦う壮絶な死闘を描いています。アニメ化やパチスロ化など、メディアミックスも成功を収めた、時代を超えて語り継がれる名作です。
あらすじ:愛と宿命に引き裂かれた甲賀弦之介と伊賀響
物語の中心にあるのは、甲賀卍谷衆の若き頭領・甲賀弦之介(こうが げんのすけ)と、伊賀鍔隠れ衆の姫・伊賀響(いが ひびき)の、悲劇的な愛です。
彼らは、永年の憎悪の歴史を乗り越え、結ばれることを誓い合っていましたが、非情にも徳川家康の命により、「不戦の約定」を解かれてしまいます。
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跡継ぎを決める代理戦争: 跡継ぎ候補である徳川竹千代(後の三代将軍家光)と国松、それぞれの陣営に、甲賀と伊賀の精鋭「十人衆」が選ばれ、互いの命を奪い合う代理戦争の渦に巻き込まれます。
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愛する者との殺し合い: 弦之介と響は、愛し合っているにもかかわらず、一族の宿命と不条理な命令により、敵同士として戦わねばならない運命を強いられます。彼らの愛の行方は、物語の最大の軸となり、「愛と宿命はどちらが強いのか」という究極の問いを読者に突きつけます。
『バジリスク』が読者の心を掴む3つの核心的魅力
1. 驚異の「異能バトル」と忍者の「生き様」
本作の最大の魅力は、甲賀と伊賀の忍者たちが持つ、それぞれ独自の、常識外れの忍術(異能)を駆使した、一瞬の油断も許されないバトルの迫力にあります。
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斬新な忍術の応酬: 相手の動きを封じる術や、目を合わせただけで術を破る力など、忍者たちはそれぞれの特異な能力を武器に、知略を尽くして戦います。その戦いは、「いかに相手の能力を見抜き、出し抜くか」というインテリジェンスな要素に満ちています。
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忍者たちの「想い」と「死生観」: 単なるバトル漫画にとどまらず、敵味方それぞれの忍者たちが、「なぜ戦うのか」「誰を守るのか」という強い信念や想いを持って命を懸けている姿が描かれています。彼らの壮絶な生き様と死生観が、読者に深い感情移入を促します。
2. 「悲恋」が際立たせる物語の深みと余韻
弦之介と響の悲劇的な愛は、物語全体に切なく、重い余韻を与えています。
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愛と憎悪の対比: 苛烈で血生臭い忍者の戦いの中で、弦之介と響の純粋で、しかし叶わない愛が描かれることで、物語の悲劇性が際立ちます。愛と宿命の間に揺れ、苦しみながらも互いを想う二人の姿は、読む者の胸を強く打ちます。
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究極の選択: 二人が最後に下す究極の選択は、読者に「もし自分だったら」という問いを突きつけ、読後も長く心に残り続けます。
3. 歴史的背景と「裏の歴史」のリアリティ
徳川幕府の跡継ぎ問題という、日本の歴史上重要な出来事を背景に物語が展開されることで、フィクションでありながらも歴史の裏側を覗いているかのような、独特のリアリティを生み出しています。
まとめ:「愛と宿命」の極限を描いた不朽の忍者ドラマ
「バジリスク〜甲賀忍法帖〜」は、迫力ある忍術バトルと、人間の愛憎や宿命を描いた切ない物語が絡み合う、唯一無二の傑作です。
単なる忍者漫画ではなく、歴史の裏側で交わされた命懸けの契約と、それを乗り越えようとした二人の純粋な愛の物語です。最後まで読むことで、その悲劇的な結末と、「愛と宿命はどちらが強いのか」という永遠のテーマが心に強い衝撃と余韻を残してくれるでしょう。
個性的な忍者たちの技と生き様、そして弦之介と響の儚い愛の行方は、時代を超えて語り継がれるにふさわしい、大人のためのダーク・ロマンスと言えます。
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